誰かと話しているとき、
相手の言葉を待たずに口を開いてしまうこと、ありませんか?
相手のためと思っていたのに、
いつのまにか自分を急かしていた──
そんなことに気づいた日のことを綴ってみます。

心が先に走り出すとき
家族や身近な人と話しているとき、
気づけば私は、相手の言葉を待ちきれずに
「こういうこと?」と先に口をはさんでしまいます。
その瞬間、胸のあたりがすっと冷えて、硬くなるのがわかります。
呼吸も浅くなって、心だけが前のめりになっていく。
相手のために言っているつもりなのに、
会話の空気はすっと冷めていく──
「もういい」と言われてしまったこともありました。
実は“されてきたこと”だった
あるとき、ふと気づいたんです。
この「先読みして言ってしまう」癖は、
私自身が、子どものころに親からされていたことでした。
「こうした方がいい」「それは違う」
愛情からだと分かっていたけれど、
言い終える前に道をふさがれてしまうようで、
自分を否定されたように感じていました。
一瞬で胸のあたりが冷えて硬くなる──
そんな感覚を、今もはっきりと覚えています。
嫌だったはずのことを、今度は自分が大切な人にしていた。
助けたいと思っていたのに、
相手の言葉を途中で奪っていたんです。
そのことに気づいたとき、切なさと同時に、
「この連鎖をここで止めたい」と心から思いました。

少しずつ試している、ほんの小さなこと
どれも特別なことではなく、
ただ「ほんの少し待つ」ための小さな目印のようなものです。
- 2拍のルール →
相手が話し終えてから、心の中で「いち・に」と数えてから口を開く。 - 身体のサインを合図に →
胸が重くなったら、深呼吸をひとつ。呼吸を戻してから、ゆっくり返す。 - 言葉を受け取ってから返す→
「つまり〇〇ってことだね?」と、一度相手の言葉を受け止めてから。
それだけで、会話の空気がやわらかく変わっていくのを感じています。
会話の中で待つのが難しいときは
会話の中で「待つ」のが難しいときは、
交換ノートや手紙で思いを伝え合うのもいいかもしれません。
子どもは思いのままに書き、
大人は落ち着いて言葉を返す。
会話では難しい「最後まで受け止める」体験を、
文字のやりとりの中でお互いに味わうことができます。
書き残した言葉は、後から読み返したときに、
心をあたためてくれる宝物になります。
まとめ
この癖を手放すことは、
私にとって “世代の連鎖を止める小さな一歩” です。
愛情から生まれたすれ違いを、
そのまま次に渡さないために。
たったひと呼吸置くだけでも、
相手の物語は相手のものとして、ちゃんと残っていく。
そう思うと、ささやかな実験も、
とても大きな意味を持つように感じます。

あなたには、無意識に「受け継いでしまっている癖」ってありますか?

